| Cabiネット 2005年5月号掲載 | |||||
 秋田スギづくしの福祉施設で林業振興を後押し 秋田県男鹿市にオープンした介護付き有料老人ホーム「ケアホーム木精」は、建築材に秋田スギを活用した木造施設。約8000�屬良瀉鰐明僂�50の個室と共有スペースを備えた民間の社会福祉施設だ。現在、要介護認定を受けた40名近い高齢者が入居して、職員たちのサポートを受けながら生活している。 建物を支える構造材に加えて、内装にも秋田スギを使用。館内には木の香りが漂い、入居者の心をなごませてくれる。 従来、社会福祉施設は、厚生労働省が定める設置基準により火災に強い構造が求められ、鉄筋コンクリート造りが主流となっている。そんな中、「県産材として親しまれている秋田スギを活用して、高齢者の住まいによりふさわしい空間を提供したい」と考えた民間団体（秋田スギの利活用を考える会）が、平成15年に特区構想を提案し、これが特例として認められた。翌年6月に「秋田スギ利活用推進福祉特区」の認定を受け、平屋建てで、火災の初期消火を行うスプリンクラーや延焼を抑制する壁の設置など、規定の防火・消化対策を行えば、木造建築が可能となった。 同特区を提案した「秋田スギの利活用を考える会」の小野泰太郎会長は「県と検討を重ねて、施設の安全対策には慎重を期した。今後のモデルケースとしてほしい」と胸を張る。 一方で、同特区の取組みは地場産業の振興という点でも大きな期待が寄せられている。 秋田県農林水産部によると、昭和40年代から50年代に県では人工林の造成運動を展開した。その大半を占めるスギ人工林は全国一の面積を誇る。こうして育まれた秋田スギが、まもなく本格的な「生産利用期」を迎えるという。ところが、豊富な森林資源に恵まれている反面、近年はライフスタイルの変化などで、木造家屋や和室が減少し、木造需要が低迷。さらに安価な外材が台頭して、県産材のシェアは圧迫されている。林業の持続的な発展と木材産業の活性化には、新たな需要拡大が課題なのだ。 「美しいつや、均一な木目、強度に優れて狂いが少ないことが秋田スギの魅力。福祉施設への活用を機に、改めてその良さをPRしたい」と、秋田県企画振興部の佐藤副主幹は語る。今後は、特別区域を男鹿市から県全域に広げ、波及効果を高めていきたいという。
 特区データ ■ 特区名 秋田スギ利活用推進福祉特区 ■ 申請主体 秋田県 ■ 区域 男鹿市の全域 ■ 特区概要 秋田県の恵まれた森林資源を活用し、木材関連企業など地場産業の活性化を図るため、高齢者福祉施設など施設整備基準の中の耐火・準耐火要件を、秋田県が当該施設の入所または利用者に係る必要な安全性が確保されていることを認めた場合に適用除外し、秋田スギなど木製品の持つ、環境に優しい、癒し空間が提供できる木造構造物の建設を促進する。 ■ 規制の特例措置 木造建築による社会福祉施設の設置
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