日本経済新聞 2005年1月10日号 掲載

 <自分流>小野建築研究所 小野泰太郎 氏 「発注者の直接発注 地域経済も活性化」


施主が内装、塗装、設備など工事ごとに専門業者と直接契約するコンストラクション・マネジメント(CM)方式を公共工事に提案している。コスト削減に加え、ガラス張りの契約内容になり納税者への説明責任も果たせると強調する。

「公共施設はゼネコン(総合建設会社)が一括受注し、専門業者に工事を振り分けているが、コストの積算根拠が不明確で、下請け、孫請けの利益も確保されない。そこで『CMマネージャー』が第三者的な立場で工事全体の進行を管理するCMを考えた」

「民間住宅では秋田県を中心に60件以上の受注実績があるが、公共工事ならもっと特長を生かせる。二ツ井町の体育館では従来基準の予定価格に比べ費用を33%削減した。地元業者も参加しやすくなり、地域経済の活性化にもなる」

「地元産材を使った公共施設の建設を山形県鶴岡市と協議している。競争入札でなく随意契約が柔軟にできる制度改正が必要なので、同市が構造改革特区を申請中だ。実現すれば林業家の経営安定を通じ山林の荒廃防止にも貢献できる」