 公共事業 ゼネコン通さず発注
〜 コスト削減国交省検討 設計会社が助言役に〜
国土交通省は公共事業の発注について総合建設会社(ゼネコン)を通さず施工業者に直接発注する方式の検討を始めた。現在は一括受注したゼネコンが下請けに工事を割り振る例が多い。新方式では設計会社などの助言に基づき施工業者を入札などで選ぶことが増えるので、コスト削減につながる。高い技術力を持つ施工業者が系列の枠を超えて受注する機会が増え、公共事業の透明性も高まる。
国交省の研究会が6月にも新方式の活用指針をまとめる。同省は関連法改正の必要性などを検討したうえで、2003年度中にも導入する考えだ。
検討しているのは、事業を発注する国や地方自治体が設計会社などと委託契約を結び、コスト削減案の作成や工程管理を設計会社に任せる方式。難工事などに関する専門知識を持つ職員が不足している自治体に、設計会社が設計方法や業者選定の具体的方法を助言することも想定している。
設計会社の助言をもとに内装、電気設備など工事の種類ごとに施工業者を指名競争入札で選べば、ゼネコンが下請けに任せる方式よりコスト低減が期待できる。この方式を一部で導入している民間企業では、ゼネコンへの一括発注に比べコストを約25%削減した例もある。
米欧の公共事業では、設計会社などが業者選定の助言や工程管理を請け負う手法が一般的。現在、米国などの設計会社やコンサルタント会社は日本でも新方式が導入されることを前提に、公共事業への参入を目指している。この方式が広がれば、建設市場の対外開放が進む可能性もある。
一括発注方式はゼネコンが完工までの責任を負うので、不測の事態で工費が計画より大きくなっても発注側の追加負担は発生しないことが多い。これに対し、新方式は自然災害などで工期が延びたり新たに資材を確保したりする必要が出た場合、一括発注よりコストがかさむ可能性もある。
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