建設通信新聞 2002年2月18日 掲載

 CM導入  実務手引作成に着手 〜 振興基金  契約書、役割分担盛る〜

 建設業振興基金は、建設工事を対象としたCM(コンストラクションマネジメント)方式の導入に向けて、実務的なマニュアル作成に着手した。マニュアルは、CM方式で発注する場合の契約書、分離発注する際の工事種別や責任施工体制の考え方、チームとしてのCMR(コンストラクションマネジャー)と設計者や施工者との役割分担などを盛り込む。このほか、CMの市場規模予測なども検討、3月末をめどに報告書をまとめる。

 振興基金は、14日にCM方式導入促進方策研究会(委員長・古阪秀三京大大学院助教授・日本CM協会会長)の初会合を開き、検討に着手した。CM方式導入促進の全般についてはCM協会、公共建築工事に焦点を絞った分離発注などのモデル調査は、CMの実績が豊富な小野建築研究所(本社・秋田市、小野泰太郎所長)に委託することを決めた。

 マニュアルは、CMを実施する場合、実務的な手引きとなる。柱となる契約書式は、海外や国内の事例を調査して、発注者とCMR、発注者と設計者・監理者、発注者と施工者のそれぞれ契約書について、盛り込むべき事項などをまとめる。

 施工体制は、分離発注で工事種別の区分の方法、瑕疵など施工責任の考え方、公募する際の要件などを調査する。事業フローでは、CMRと設計者、監理者、施工者との役割分担を整理するとともに、CMRの業務範囲や施工者との責任関係などの事項を内容とする実施要領の基本的な考え方、モデル書式を検討する。

 一方、小野建築研究所では、技術者が少ない町村がCMを導入して分離発注や施工管理する場合、標準的な公共施設を想定してモデル調査する。

 研究会は、検討期間が短いため、現行の法制度で導入できるCMを対象に、マニュアルは大枠を示すものを考えている。施工のリスクも負うアットリスクCMは、建設業法などとの関係が明確になっていないため、施工のリスクは発注者が負うピュアCMを対象とするマニュアルとなる。