企業情報秋田 2000年2月掲載
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CMシステムとは? |
これまでの建築は、元請け企業が受注し、下請け企業を使って建築するやり方が普通ですが、CMシステムは設計業者がその建物の性格、機能、コストなど、施主が求める条件を満足させられる対応力を持った施工業者を施工内容別に選択し、契約は施主と各施工業者が個別に行うという分離発注方式です。設計業者は、施主の立場に立って施工業者をコーディネイトするわけです。
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今までこの方式はなかったのですか? |
ゼネコンが存在しないアメリカなどではこの方式が主流です。日本国内では、考え方としてはありましたが、私達が始めた平成10年7月時点で実践している例は、全国でもほんの数例程度だったと記憶します。
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どうしてこの方式を始められたのですか? |
公共事業の減少や住宅着工件数の低迷など、建築業界も非常に厳しい環境に置かれています。また、社会構造が大きく変化し、比較的閉鎖的だった建築業界にも国際化による市場開放の圧力が高まっています。我々建築業界自体がグローバルスタンダードとしての体質改善を迫られている現実があります。日本の住宅建築コストは、欧米に較べて高いといわれていますが、その原因は何か、本当の意味でユーザーの立場に立った家作りは何かを考えようと、平成9年12月に市内の建築や設計業者の15社で「秋田すまい塾」を発足させました。
その勉強会で、「日本の発注システムに問題がある」ということになったわけです。どうすればよいかと考えた結果、辿り着いたのがCM方式でした。
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CMシステムのメリットは何ですか? |
一つは施主側のメリット。建築工事は多くの施工業者が関わり、多くの建築資材、ノウハウを注ぎ込んで完成させる労働集約型事業です。CM方式では、どんな人達が自分の家の建築に係わっているのか、施主と施工業者、お互いの顔が見えるので、意思疎通がし易く、施主の希望を反映した高品質な住宅ができます。
また、どこにどれだけコストがかかるのか、どうしたらコストを抑えることができるのか、設計業者が施主に専門的なアドバイスを与え、工程管理など高度なマネジメントを行うことにより、コストが透明化され、同時に建築コストも30%程度低減できます。支払方法も完成検査確認後支払いが行われるので、工事途中での施工業者倒産事故などのリスク回避にもなります。
もう一つは施工業者側のメリットです。これまでは、ゼネコンが受注し、実際の施工は下請け、孫請け業者が行うのが主流ですが、このやり方では管理コストが大きくなるため、施工業者段階での受注価格が非常に厳しいものになる傾向が強い。これが手抜き工事の原因ともなるし、若い人材が育たない原因にもなる。CM方式では施工業者が直接契約するので、いわゆる「下請け」故の無理な条件を押し付けられることがない。また、自分のやった仕事を直接評価されるので、職人としてもやり甲斐があり、より良い品質の仕事へ繋がっていく可能性があるわけです。
つまり、施主、施工業者双方にメリットがあるわけです。設計業者としてはきつい部分もありますが。
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