![]() 今年も暮れを迎えて、一年のスピードの速さには驚く。世相からして誰もが、肌で感じていることだろう。人によっては、充実した時を過ごしているか、または時節柄、悪戦苦闘しているか、いずれにせよ、無我夢中で時を刻んだことには違いない。 時を長く感ずる人がうらやましく思う。それでも「時間を短く感じたい」という人がいるから、人間の所業はわからない。 今年を振り返ると、春先から国土交通省での「CM方式導入調査研究会」がスタートして、小生もそのワーキンググループに参画し、国内のさまざまな分野のエキスパートと話し合えることが出来た。地方の狭い領域で活動している私にとっては、何にも替えがたい経験をさせていただいた。 一面的かもしれないが、一見解放的に見える都市は、実は目に見えない糸でがんじがらめになっている。その姿は、戦後日本の呪縛かもしれない。そこには変革の足音も影すら見えない。その点、地方はあらゆることを受け入れ、呑み込み、そして消化する、豊かな土壌がある。そんな視点で俯瞰すれば、過去に大きな変革の波が地方から発信したことがよくわかる。現代のハイスピードな世界から、地方のロースピードの営みが、これからの時代を予感させてくれる。 今、私の事務所では「CM方式導入調査研究会」の作業の一環として、秋田県六郷町でモデル調査を実施している。完成は3月の予定で、これが完成することにより、業界全体に少なからず影響を与えることであろう。もしかしたら、一斉に瑞々しい新芽が吹き出すかもしれない。今まで下請けとして甘んじてきた専門業者にとって、千載一遇のチャンスとなる。
時代の潮流の変化は、案外普段見過ごすアリの一穴のようなもので、ある日、突然にせきを切って、大きな流れとなり、押し寄せ、辺り一面を埋め尽くす。こんな単純な自然の営みのようなものなのかもしれない。最近、テレビや新聞でよく見かけるが、大見得を切って、睨み、訴えている政治の世界は、空空漠々としたステージで演じているかのようでもある。無党派層が増えるのも無理はない。 とりあえず。我々凡人は、常に時代の流れを感じ取り、自然に体が反応する反射神経が必要。それには日頃のトレーニングが欠かせない。問題意識を高め、果敢に挑戦する勇気と忍耐、当然、風圧を受け、たじろぐことも予想されるが、怯まず受け止めることがその人間の胆力をも養う。頭ではわかっていても、人間はそもそも不合理にできているので、実行することは難しい。それでも身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあるので、気概でやるしかないであろう。 かつてCM方式を立ち上げた時、知人から「あなたのやり方は民間では何とかなるかもしれないが、公共事業では難しいだろう」と物知り顔で言われた。まさに孤城落日の思いで天を仰ぎ、考え込んだこともあった。しかし意外にも、早いデンポで現実となり、さまざまな可能性が見えてきた。意外性に富む今の時代は面白い。 かつて幕末の志士、高杉晋作が病床で「おもしろきことなき、この世をおもしろく」の絶世の句を残してこの世を去ったが、今の混乱した時代は、おもしろく生きる、つまり自由に生きることが求められる。
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