それから、建築のローコスト化の問題です。これも先ほども触れましたが、日本の建設業というのは、戦後ずっと成長一本で来ました。加えて、後先はわかりませんが、日本の建設費は世界で一番高く、したがって、公共事業への依存率、比率が非常に高いのです。当然のように、そうした高メリットの仕事に、あらゆる人たちが参入する体系が出来上がったのです。

 たとえば、アルミサッシ1本で3〜4社が競合しているのです。無駄やリスクが増え、それがコストにはね返ってきます。そればかりか仲介業者というものもあって、そういう方々があらゆる業界、あらゆる職種にすき間なく入っているのです。こうしたコストを上昇させる要因を見直しして、コストをダウンさせることに取組まなければならないと思います。

 福祉とか、教育とか、住宅とか、社会資本整備という面で、予算の削減という方向にありながらも、まだまだやらなければいけないことは実はたくさんあると思います。したがって、流通やその他の無駄な部分を削減して、コストダウンを図っていく必要があると思います。

 では、CM方式というのがコストダウンにどの程度貢献するかというと、民間工事の場合、平均的30%ぐらいはコストダウンになるかと思います。したがって、公共事業2割の削減という厳しい状況に対しても、有効な手だてとなる可能性があります。今回、モデル調査で鉄筋コンクリートの平屋建てで1700u規模の建築を手掛けますが、通常5億円程度の価格のところを4億円ぐらいに圧縮するという目標を掲げています。余った予算、すなわち、コストを下げた予算で付帯したものをつくろうという方針で、今、協議を進めています。