それから、国際化という問題です。

 1960年代、双子の赤字でずいぶんアメリカが苦しんでいたときに、コスト的な問題の対処策として、マネジメントという技術が出てきました。2001年、テロに見舞われたアメリカのワールド・トレード・センターは、アメリカにおけるCM方式の第1号です。以来、アメリカでは急速にCM化は進みました。日本的にはいわば請負型に分類されるアトリックス方式、リスク方式のCM方式が、アメリカで非常に多数を占めております。

 しかしだからと言って、アメリカと同様の方式を日本に導入しようとしても、おそらく今のままでは難しいと思われます。それは、請負型で進めていくのに必要な透明性という問題をクリアできないのではないかと考えるからです。透明性を確保するモラルに対する考え方は、日本とアメリカはまったく土壌が違い、残念ながら日本の場合は、まだそういうモラルが成熟していないと思います。

 現実には、外資系の企業が東京ではもうすでに活動しており、かなりの実績をあげています。間違いなく方向性としては解放に向いているのですから、日本も今の制度のままではなくて、発注を多様化することによって、国際的にも解放していく取り組みを進めることが必要だと考えます。それゆえに、われわれもCMを勉強する必要があるのです。

 先ほど少し触れた「すまい塾」は、業界がこのままで果たしてよいのか、専門業者が厳しい状況に置かれたままでいいのかという勉強会から、結果としてCM方式の勉強という方向に進みました。平成8年当時は文献も非常に少なく、まして秋田のような地方では、やっとみつけた1冊だけでした。そこではじめて、CM方式に出会ったのでした。