それから、専門業者の自立と育成について。今まで公共事業に全くチャンスのなかった皆さんに、これからこういう形でチャンスがあるとなると、自分たちが今まで下請、孫請、ひ孫請と3次下請ぐらいで甘んじていたものが、今度は元請になれるわけですから、新たなビジネスチャンスとなって非常に元気づけられると思います。そのためには、電気とか、設備とかで、今までは経営審査に関係なかったけれど、今度元請になるとお客さんが直接現場に行ったときに、ろくにあいさつもできないではすまない。言ってみれば、社員教育もきちっとしていかなければいけません。

 それから、経営内容についてもできるだけわかりやすく、透明性を高めていき、第三者が見ても客観的な資料を出せるような体制にしなければいけない。こういうことを、マネジメントを活用する中で専門業者の皆さんにできるだけ話をして、そういう体制をとれるようにしていきたい。そして、自分たちでも流通を見直して、少しでもコストが下がるような工夫というのが、これから求められてくるのだろうと思います。これがどんどん進んできますと、専門業者の提案が求められてくると思いますし、どこからどこまでがダンピングかという基準と、コストとフィーがしっかりわかるような形が、これから専門業者の中にも求められてくるのではないかと思います。

 コストというのは、資材とか、労務とか、あとは間接経費、それから利益です。今まで日本の企業の場合は、利益という項目を出してはいけない。利益という項目は見積書の中にないわけですけれども、これからの企業では利益を見るという見積りのあり方というのも非常に大事なことではないかと。何となくあいまいな形が不透明さを出しています。同じ100円でも、利益が20円の方もいるかもしれませんし、2円しかない方もいるかもしれません。それはやはり企業の努力によって、利益の出し方が出てくるだろうし、それでも結果的には安ければいいわけですから、CMをやる場合に専門業者を選考する1つの基準として、コスト・プラス・フィーというのがこれから非常に大事ではないかと思っています。

 それからCM協会の流れです。平成13年7月に設立して、10月現在で会員が374名、その後も会員数がずいぶん増えているようです。いま現在、企画運営委員会と普及広報、調査研究、それから教育養成委員会と倫理委員会という5つの委員会で構成され、委員会がすでに活動しています。関西支部が平成13年11月に設立され、平成14年6月をめどに東北支部が設立予定になっています。協会がいま行っている仕事は、国土交通省のCM方策調査研究会で、建設振興基金が事務局になっていて、その事務局の中の事例研究プロジェクトです。

 その他に、CM協会で9つのワーキンググループを持っており、そこでCMの理想的な形のあり方を考えてCMのマニュアルをつくること、現行制度でできるCM方式は何か、という2つのテーマのとりまとめを目指しており、平成14年6月にはマニュアルが完成する予定になっています。

 私たちは、あくまでも現行制度の中でCM方式を使うという方向です。本来は設計事務所、建設会社と別個な形で、独立した形でマネジメントをやっていくのが、理想的なマネジメント会社であろうという考え方を持っています。いきなりCM方式と掲げないで、マネジメント技術を活用した分離発注方式の導入ということを目指しています。マネジメントか分離かの違いはありますが、中身はCM方式です。それが理想的な形ということではありませんが、現状、一番発注者に近い立場にいる設計事務所、もしくはコンサルティング会社が、マネージャーの役割を担うのが一番適当かと思っています。将来、市場が認知されてできあがった段階では、きちんとしたマネジメント会社として独立した形で立ち上げられればと思います。